これまでの経緯

【臨床までの流れ】

2009.8 大動物への植え込みに成功(テルモプラネックスセンター)。
エコーで逆流認めず。
2010.8 ステントレス僧帽弁の将来展開を検討する会
(代表:大阪大学澤芳樹教授、神戸市立中央市民病院岡田行功副院長)設立
2010.10 大動物への植え込みに成功(大阪大学実験室)
2010.11 榊原記念病院倫理委員会承認(自己心膜を用いた拡大僧帽弁形成術)
2011.6 臨床例手術第1例成功(榊原記念病院)
2011.7 臨床例手術第2例目成功(榊原記念病院)
2012.2 臨床例手術第5例目成功(京都府立医科大学病院)
2012.4 ステントレス僧帽弁臨床研究会(代表:澤芳樹)設立
2012.7 ステントレス僧帽弁臨床研究会第一回学術集会開催
2013.7 第2回ステントレス僧帽弁臨床研究会学術集会
2014.7 第3回ステントレス僧帽弁臨床研究会学術集会
2015.3 平成27年度日本医療研究開発機構研究費採択
2015.5 先進医療申請
実験風景

【これまでの臨床】

2015年7月現在まで、14人の僧帽弁閉鎖不全症の患者さんにこの手術が行われました。14人ともこの新しい手術によって高度の僧帽弁逆流が消失ないし軽度の残存のみという改善を得て大きな合併症なく退院されました。

この手術は、僧帽弁形成後と同じように心エコー検査で評価されますが、退院時の心エコー検査では14人中逆流が全くないもの4人、ごくわずかが8人、軽度が2人でした。ごくわずか(trivial)な逆流というのは、健康人でも心エコー検査をすれば高い確率で認められるレベルのものであります。14人中12人がごくわずかな逆流ないし全くなしというこの結果は、僧帽弁形成術の手術数の多い病院で行われた僧帽弁形成術の結果と同じレベルの良好な結果ですが、この手術の安全性、有効性についてはこれから先進医療において評価されることになります。

2015年7月現在これらの患者さんは第1例目の小児の患者さんで小児特有の早期心膜変性が生じた以外は大きな合併症や心不全などは生じていません。ただ、まだ最長4年しか経っていないので、従来の生体弁(ウシ、ブタ)よりも長持ちするのかどうかについては現時点では不明であります。僧帽弁逆流についても長期にわたって発生しないかどうかは不明ですが、現時点で2年以上経過した7人についてみると、手術2年目のエコー検査で逆流全くなしは3人、ごくわずか(trivial)が3人、軽度(mild)が1人、という結果で、短期間ですが今のところ安定しています。

この手術が先進医療として行われることは、正確に科学的に有効性、安全性が評価されるという意義があります。評価期間(約2年)の間、一定の基準を満たし認可された施設においてのみこの手術が行われることも、この手術の質が維持され、健全な普及につながると考えられます。